「心ー、お昼食べよー」
「あ、うんっ」
不意にこっちへ来た由希にそう言われ、あたしは笑顔でコクンと頷いた。
「弁当持って、食堂で食べよう?」
「あ、うん。ちょっと待ってね。………あれ」
「ん?どうしたの?」
「………弁当がない」
「えっ!?何で?」
「分かんない」
あたしがガサゴソと必死にカバンの中を探っているにも関わらず、何故かいつもちゃっかりと持って来ているはずの弁当箱が、ぽっかりと無くなっていた。
「……ねぇ、心」
「な、何?」
「あれって、心のじゃない?」
「え、」
小さい声でそう言った由希が、いきなりスッと窓の外を指さした。あたしはそんな由希の指先の方向へそっと目を向ける。
「………っ!」
すると、教室の窓から見えた、見慣れたピンク色の弁当箱。
それは無残にも中身のおかずやご飯が散らかっていて、もう手に負えない状態になっていた。
きっと、誰かがあたしの弁当箱を捨てたんだ。

