これが、あたしの彼氏です。【完】



「…な、何?」

「東雲さんって、意外と怖いもの知らずだよね」

「え?」

訳の分からない言葉を零したギャル女が、不敵にニヤリと笑みを零す。

「………えっと、」

「だってさ、普通なら怖さに気が引けちゃって、内緒で会ったり出来ないと思うしさあー」

「………はい?」

ギャル女の言ってる意味がいまいちよく分からなくて、あたしはそれにちょっと首を傾げると、目の前のギャル女は「チっ」と小さく舌打ちを吐き捨てて、眉間にギュッと皺を寄せた。


「とぼけんじゃねぇよ。昨日シンと放課後会ってた事、こっちは全部知ってんだからね!」

「え、ど、どうして…」

あたしが小さく言葉を返すと、またギャル女が嫌らしくニヤリと笑った。

どうしてこのギャル女が昨日の事を知ってるの、と一瞬思考が停止してしまって、あたしはつい目の前のギャル女をじっと見つめてしまった。

「何その目。言いたい事あるなら言えば?」

「………っ」

「ねぇ」

そう言ってニヤリと笑みを零すギャルに、あたしは一旦息をゴクンと呑み込んだ。

「…………、ど、どうして知ってるの…?」

自分から小さく出たか細い声に、あたしはフルフルと震える口元をギュッと噛み締めた。

「は、どうして?どうしてって、そんなのこれが昨日回って来たからに決まってんじゃない」

「………え」


―――そう言って見せられた、携帯の画面。そこに映し出されていたのは、写真付きの一通のメール。