これが、あたしの彼氏です。【完】



「行って来ます」

――――次の日、今日もいつも通りな時間に家を出て学校へ向かい、靴箱の扉をそっと開けた。けれど意外にも今日は靴箱に一つも異常がなくて、安心したと言わんばかりにホッと胸を撫で下ろす。

教室に繋がる階段を上がり、二年三組の前で一旦足を止めると、あたしはゆっくりと教室の扉を開けた。


「あ。シンの愛され彼女が来たよー」

「……!」

扉を開けた瞬間に耳に入って来た嫌な声。あたしはその声に一瞬肩をビクリと震わした。そこからクラスは一気にシーンと静まり返り、次々と嫌な視線があたしに向けられる。胸がズキズキと痛みながらも、あたしは俯きながら大人しく自分の席に腰を下ろした。


「ねぇ、東雲さん」

すると、あたしが腰を下ろした瞬間、あのクラスのリーダー的ギャルが低い声であたしに声を掛けて来た。