「な、なに…?」
至近距離でまじまじと見つめられる事に落ち付かなくて、ちょっと緊張してしまう。
「……お前、最近顔色悪くねぇか」
「…え、」
いきなり、全く想像していなかった言葉を投げかけられ、あたしはつい背筋を固まらせてしまう。
「え。ど、どうして……?」
「いや、そんな感じがしただけ」
もしかして、あたしのちょっとした変化に、矢沢君は気付いていたのだろうか。こうやって、面と向かって会話をしたのも久し振りだと言うのに。
「そ、そっか。でも、顔色悪いなんて見間違いだと思うよ。…大体、女の子に顔色悪いとか失礼だよ」
「あ?お前はいつだって青ざめてるだろうが」
「なっ…酷い!」
「うるせぇ」
―――てっきり、今日矢沢君に呼び出されたのは、何で避けるんだとか、いきなり距離を置いたあたしへの質問攻めだろうと思っていた。
けど実際、矢沢君が聞いて来たのはあたしの顔色の事だけで、もしかしてあたしの事が心配でわざわざ呼び出して来たのだろうかと思うと、ほんの少しだけ胸に温かいものが沁みた。

