「………わっ」


――――ジャラジャラジャラジャラ。

不意に落ちて来た、無数の押しピン。靴箱から流れ落ちてきた押しピンを見つめながら、あたしは心の中で一つ溜め息を吐き捨てた。

(…またか。)

学校の掲示板に例の写真が貼られたあの日から、あたしは毎日のように悪趣味な嫌がらせを受けるようになった。小さい嫌がらせが続いて、今日でもう一週間になる。

「…………」

ハッキリ言って、物凄く辛い。例え小さな嫌がらせであろうとも、辛い事には変わりはない。
胸がズキズキと軋み、それを仕掛けているであろう子達の顔を浮かべるともっと心臓が悲鳴を上げる。

当のあたしは何も出来ずに居て、ただ受け流す事くらいしか出来ないけれど、学校へ来る度この今の現状が堪えられなくなってくる。

最近はあの矢沢君とも、少し距離を置いてしまっている。そんなあたしに矢沢君が気付いているのかどうかは、さっぱり分からないけれど。