見ているだけで胸の奥がズキンと痛くなる光景に、キュッと自分の下唇を噛み締める。あまりの衝撃にその場から動けずに居ると、周りの女子たちがあたしに気付いて声を掛けて来た。

「あ、東雲さんじゃん、ねえ、これどう言う事ー?」

「何で矢沢君と東雲さんが一緒に居るの?」

「……!」

あたしはその問いかけにビクリとし、いきなりの事に頭が混乱してしまう。
それでも、この事は絶対に矢沢君にはバレてはいけない―――と言う事だけは頭の片隅で理解していて、それを避ける為にもあたしは思い切って貼り紙をビリっと剥がしたのだ。

貼り紙が剥がれる音が辺り一面に響き渡ると、周りの生徒たちも徐々に嫌な歓声を上げ始める。
あたし自身、自分の行動力に驚くと同時に、この場から逃げたい気持ちでいっぱいになった。


「…東雲さん、それ破ったって事はその写真に映ってる事本当なの?」

「………っ」

あたしはその鋭い言葉と周りの視線に居ても経っても居られなくなり、大勢の生徒が集まっているこの空間を何も言わずにダッシュで立ち去った。