これが、あたしの彼氏です。【完】



「おい地味女。ボーっと突っ立ってないで、前出ろ」

「……え、あの。ちょ――っ」

矢沢君の友達に目を向けていたのも束の間、矢沢君はいきなりあたしの身体をチョンっと前に押すと、そのままあたしの肩にそっと手を置いた。


「―――――こいつ、今日から俺の女」

「あ。やっぱり?そっかそっか。うん、よろしくなー!えっと、お前名前は?」

「…えっ?あ。えっと。東雲心、です…」

成り行きで自己紹介しながら、矢沢君に「俺の女」とキッパリ断定されてしまった事実に心の中では思い切り涙流して泣いていた。


「え、もしかして真面目ちゃん?ぶはっ、し、シンに似合わねぇー!」

「………」

「笑ってんじゃねぇ、うぜぇ」

「あーはいはい。あ、えっと。心ちゃんだっけ?俺は、忍足 蒼稀(オシタリ ソウキ)!改めてよろしくー」

「…よ、よろしく」