「あ、やば、時間だ」 優希がそう言い、碧と二人でそれぞれのクラスへ帰っていった。 「早く蕾ちゃんが恋心に気づけますように」 「ばっちり聞こえてまっせ、可恵さーん」 蕾は笑いながら言った。 ここまで何回も同じことを言われると、そろそろ腹も立たなくなってくる。 朝、家を出たときよりも暖かい風が窓から入ってきて、蕾の頬をなでる。 今日もまた、1日がはじまる。