「はああ、キレイ…」


菜乃は、僕の指を見てる。

これは、いつものことやねんけどな。

指を撫でたり、いろんな角度から
見たりしている。

慶もおるけど、お構いなしやで。


浩二「そんなキレイ?僕の指そんなキレイ!?」
「うん、めっちゃキレイ…大好きや」
慶「菜乃って、暇さえあれば浩二の指見てへん?」
「やって、好きなんやもーん」
慶「気持ち悪いくらい指フェチやな」


慶も、ちょっと引いてる。


浩二「ええやんなあ、指フェチ♡」
慶「でもさ、指がきれいやからって、それだけで告白するのってどうなん?」
「えっ、ダメー?」
慶「あかん!」
浩二「ダメちゃうよなー?」
「うん!」


そう。

僕らが付き合ったのは、菜乃から告白してくれたことがきっかけ。

告白されたときの言葉は、

「浩二くんの指が大好きです。あたしと付き合ってください。」

やったな。

そんときは、面白い子やなー思って、
可愛いし、付き合ってみるか、って感じで。

僕も、「うん、ええよ」って言ってんな。


慶「2人とも頭おかしいんちゃうん?大丈夫?」
「んー、でもあたしは、浩二の指を好きになってよかったと思っとるよ」
浩二「ホンマに!?」
「うん。あたし、最初は、これから毎日浩二くんの指見れるやん!って感じやってん。でも、付き合ったら、浩二くんめっちゃ優しくてさ」


こんなふうに言われたん、初めてや。
少し、照れくさかった。


「何か、毎日毎日…どんどん、浩二くんのこと、好きになっていってん」
浩二「…」
「やから最初は、本当に、指だけが好き、って感じやったけど、今は、浩二くんのことが…大好きで、仕方ないんよ」


そう言って、菜乃はチラッと僕を見た。

すでに頬は真っ赤で、恥ずかしそうに微笑んで、また下を見た。

あかん、めっちゃ可愛い。


慶「…2人とも、顔、真っ赤やん」


そう言う慶も、頬は少し色付いていた。


「やから、あたし、浩二くんの指を好きになってよかったよ。指がキレイやからって告白したこと、今考えると、あたしアホちゃう、って思うけど、本当に、告白してよかったって思ってる」
浩二「…そんなふうに、思ってくれてたん」
「…あかん、あたし何言ってんねやろ」


また、さっきみたいに、恥ずかしそうに笑った。


浩二「奈々」
「うん?」
浩二「俺の指、好きになってくれてありがとう」
「こちらこそ、あんなアホな告白を受け入れてくれてありがとう」


2人、目を見合わせて、笑った。


慶「ちょ、俺の前でラブラブすんのやめて!」
浩二「慶」
慶「なんやねん」
浩二「慶も、ケツが小さいところが好きです、付き合ってください、とか言われたら、付き合ってみるのもええと思うで」
慶「そんな子おらんわ!」
「おるかもよ?ケツフェチとか!」
浩二「ええ彼女つくるんやでー♡なー、菜乃♡」
「せやでー、けいくん♡」
慶「もー、うっとうしい!」



End.



→あとがき