突然のレナちゃんからのお誘い。あたしはすっごく嬉しくて、どこだろうと行くつもりだった。いつものファミレスかな?だったらあたしは今日は…なんて、すでに行き先すら決めつけて、何を食べようかメニューまで思い浮かべる始末だった。
だけど、ニッコリ微笑んだレナちゃんの口からは正に想定外の、あたしの予想出来る範囲内を大きく外れた、聞き間違いだとすら思った提案が発せられた。
「放課後のグラウンド」
………
……
「ん?今なんて?」
念のため、もう一度聞いてみる。
「放課後のグラウンドだよ」
……どうやら、聞き間違いでは無いらしい。
「え、グラウンド?な、な、なんで?」
「ほら、前にヒロちゃん言ってたじゃん、野球部の練習見てみたいって。折角だし夏休みに入る前に一度見に行っておこうよ」
「!、や、野球部…!」
純粋無垢な笑顔でレナちゃんは言う。きっと本当にあたしの事を思ってくれて、良いこと思いついた的なヤツなんだと思う。らしくないあたしの事を心配して言ってくれてんだと思う。
ででで、でも!
「…レナちゃん?あの、今日はやめとこうよ。ほら、天気も悪いし」
「曇ってる方が暑く無くて良いと思うよ。ちょうどいいんじゃない?」
「いや、ほらファミレス!新しいパフェが出てたような気がする!」
「でもヒロちゃん今月すごいピンチだってこの間から言ってるよね?」
「(そ、そうだった…)じゃ、じゃあえっと…、」
「ねぇ、ヒロちゃん」