そして怖い顔のまま黙ってしまった進藤君に向かって、「え、何?」と再度尋ねるあたし。
すると進藤君は「はぁぁ…」と盛大な溜息をついた。隠すつもりも何も無い遠慮無しのその溜息。それはまるでイライラを全て吐き出すかのような、そしてどこか諦めをつけたかのようにも見えるもので……って、あれ?イライラ?
「…進藤君、怒ってるでしょ」
「……違うよ。怒ってはない」
「いやでもそうじゃん。溜息なんてついてさ、」
「違うって。呆れてるんだよおまえに」
「!、なっ、」
“なんで⁈ ”と、口に出そうとした、その時だった。
「久し振りだよ、おまえみたいなバカを相手にするのは」
…なーんて、あたしにはどーうしても聞き捨てならない言葉を思いっきり、包み隠さず進藤君…いや、進藤は言った。
あまりに急にそんな事を、まさかこの人に言われるなんて思いもしなかったあたしは衝撃が大き過ぎて、またもやピシリと固まるはめになる。思考停止の、機能停止状態だ。
…でもそれも、そうそう長い間のものではなかった。
「ーーば、バカってなんだ、バカって‼︎ 」



