優しくないっ、優しさを感じない!



どんなにその想いが本当だと思っても、でもどうしてもあたしの中で覆されない事実が一つ。


「なんであの時、あんな目で見たの?」


あの時ーーそれは、進藤に嫌われたんだって確信したあの朝の事。廊下で問い質す原因にもなったあの出来事。


「あたしの事、すごい冷たい目で見たくせに」


今でも鮮明に思い出す、あの時の進藤の瞳。冷たく、鋭い瞳。一瞬のそれはあたしの中に濃く、強く焼きついていた。


「嫌われたんだって思って、それで確認して、そしたら進藤はあんな風に言うし、周りの人達もそうだし、だからあたしは進藤からもうどうも思われてないんだって思って…」

「ごめん」

「…いや、そうじゃなくて、」

「ごめん、本当に俺が悪い。あれは本当に… というか、全部俺が悪い」

「……」


そんな申し訳なさそうに謝る進藤に、あたしは思わず口をつぐんでしまった。

…でも、謝って欲しいから言った訳じゃないのに、謝られたってそんなの何にもならないのに。そこでまたあたしの中で“やっぱり”、そういう気持ちになる。やっぱりそうやって教えてくれないんだ。

だってこんなの、どっちの意味か分からない。どっちにだって取れる。せめてどっちかさえ言ってくれれば、そしたらあたしはそのどっちかを信じる事が出来るのに。それすらさせてくれない、それが進藤だって思う。いつも投げかけておいて答えはくれない。そんなあたしを嘲笑ってるんじゃないかと思う。そう思われたって仕方ない事をしてるのは進藤の方だ。