進藤の中のあたしはその他の括りだけど、でもその中の恋愛対象で進藤の事を見てる女子達と線引きされてたら、それだけで良い。
そこに混ざって一緒にされてあたしがなくなっちゃうよりは、全然良い。
…ズルイかも、しれないけど。
「帰りなよ。コースケの言う通り別に泣かされてた訳じゃないし、むしろコースケには話聞いてもらってる最中だったっていうか、それにまだ話だって終わってないし。だからもう何も無いなら帰りな。てゆーか帰って、」
「うるさい」
「欲しい…は?」
う、るさい?
…色々話してたはず。あれこれ言っていたはずなのに、むしろ途中だったはずなのに、それなのに直球で奴から投げつけられたのはそんな言葉。
それまでは上手く淀みなく動いていたあたしの口なのに、その衝撃に思わず閉じてしまう。
「なんかごちゃごちゃ言ってるけど関係無いんだよ。俺が会いたいから来たんだ、分かる?」
「……は?」
するとそこで、大きなハテナマークが一つ。
何も考えられないくらい、他の器官と繋げられないくらいにとても大きなそれが一つ。
あたしの狭い頭の中に浮かび上がった、その時だった。
ズカズカと、視線を逸らす事無く教室に踏み込んできた奴が目に入ったと思ったら、急に奴はあたしの腕を掴むと、立ち上がらざるを得ない力で腕を引いてきてーー
「ちょ、ちょっと何⁈ 」



