…でも、開けてしまったその想いを言葉にした瞬間、もう通り過ぎたとばかり思っていた大きな衝撃やら絶望が、再度勢い良く溢れ出してきた。そして…それらと同時に流れ出してきたもう一つ。何より大きな、新しいその感情の名前はーー後悔。


なんで今更こんな事に気付いちゃったんだろう。なんで今まで見ない振りしてきたんだろう。なんでなんだろう…もう遅いのに。もうあたしなんて見てくれないのに。もうあたしの存在なんて進藤の中には無いのに。なのにあたし、本当は進藤の事が好きで、そんな事今更言い出したってダメなのに、なんで早く気づかなかったんだろう。もういつから好きかなんてよく分かんない。でももう好きなんだ。あたしは好きになっちゃったんだ。それだけは確かなんだ。なんであたしは、どうして、もっと早く、ちゃんとしてれば、それなのにーー


「…大丈夫だよ、ヒロ。だから泣くなよ」

「……うんっ、…」


後悔ばかりだ。今までの自分の行いへの後悔に押しつぶされそう。今更涙を流したってもう遅い、手遅れなんだ。それでもやっぱり涙は止まらなくて、悲しくて、辛くて、悔しくて…


大好きだなんて、気づかない方が良かったのかもしれない。


「コースケ、あたし…」

「ねぇ、何してんの」


ーーそれは、この空間に加わった、新たな声。

ハッとあたし達は声の方、教室の入り口へと顔を向けた。