レナちゃんの事好きだったんじゃないの⁈ って怒るのか、ただ単純に嬉しい、ありがとうって喜ぶのか。きっとその二択だったはずだと、あたしも思う。
「…あたし…」
「うん」
「あたし…コースケの事は好きだけど、だけど…違った。違くなってた」
「うん、そうだよな。だってヒロは俺にはあんな風に怒らない」
「…うん」
「あんな風に、俺への配慮無しに自分の気持ちで一杯になったりしない」
「…うん」
あんな風っていうのは、今日の廊下での出来事。それを指してるんだってすぐに分かった。
…だって、あたしもそれに気づいてしまった。
あたしは今コースケと話してて、ずっとコースケへの配慮ばかりを口にして、自分の中では自分の気持ちすらハッキリと分かっていなかった。
でもあの時、あの時は違ったんだ。
「…あの時はすぐに分かったんだ、あたし。あいつの前で、あいつの事どう思って、だからなんて返して欲しいのかって」
…すると、ずっとしまわれていた想いが溢れ出したような、そんな感覚に陥る。
「…あたし…好きになってたんだね」
これは、鍵をかけたまましまっておいたらその鍵を無くしてしまって…結局しまっておいた事すら忘れていた、そんな状況に似てると思った。
でもそれを今日コースケが見つけてくれて、コースケの手によって鍵を開ける事がようやく出来た、そんな感じ。そんな気持ち。
「あたし、進藤の事が好きなんだ」



