少し遅れながらもしっかり聞き逃さなかったその言葉。一気には色んな情報を処理する事が出来ないあたしの脳みそには、お腹の働き具合を見習って欲しいものである。
「な、何?何だって⁇ 」
そして身を乗り出して食い気味に尋ねるあたし。そんなあたしに進藤君はまたもや溜息をつきたそうな顔をしながらも、やれやれとあたしにそれを告げた。
「今日、行けなくなったって」
「…え?」
「だからごめんってさ」
「……」
…ごめん?
行けなくなった?
ーーすると突然、ドスンと、急に何かがあたしの中に落っこちてきた。
「充電が切れたとかで、駅行くなら伝えてくれって頼まれたんだ。だから名前もその時聞いた」
「…そっかー」
「もう遅いから帰ってるだろうけどって言ってたよ。待ってないでさっさと帰ればよかったのに」
「…だねー…」
…なんだろう。別にもう来ないかもって思ってたし、今日帰れなくなったって別の日にまた行けばいいだけの話。それなのに何か…何か、すっごい胸の奥が重い。すっごいテンションが下がってる。
「でもまぁ、次の電車には間に合ったじゃん。俺は帰るからさ、神崎サンもさっさと帰りなよ」
そうだ、部活始まってから久しぶりに帰るからって昨日から楽しみにしてて、そしたら今日は朝から寝癖が直らなくて大変でレナちゃんに手伝って貰って、そしたらコースケがドーナッツ食べに行こうって言ってすっごいワクワクして、やっと放課後になって、それでずっとここで待ってたのに…



