優しくないっ、優しさを感じない!



きっと奴の気まぐれだったんだ。それとも他にもっと面白い人見つけたとか、きっとあるとしたらそんな簡単な理由だ。あたしなんてそれっぽっちのただの暇つぶし程度の存在だ。


「そうやって人の事バカにして、それなのにたまに優しくして、でも本当はどうとも思ってなくて…本当はその程度だったクセに。同じように見てたクセに…だからあたしは進藤が嫌いなの。もう進藤がどう思ってようが関係無いの。あたしは嫌いだから、だからもうどうでもいいの…!」

「嫌い?」


聞こえてきた問いに目をやると、あたしの言葉に首を傾げたコースケの姿が目に入った。

するとコースケは…思いも寄らない言葉を、言葉を待つあたしに向かって投げかけた。


「そうか?俺にはさっきっから、ヒロが進藤の事好きだって言ってるように聞こえるけど」

「……へ?」


…ポカンと、思わず開いたままになる口。


そう言ったコースケの表情からは、単純に、素直に、思ったままに意見を述べた、そんな様子が手に取るように分かった。…それはつまり、そんな変な、あり得ない、突拍子も無い事を彼は、本気で、本心から、そう信じてあたしに告げているって事になる訳で…


「そんなに好きだったんだな、進藤の事。そういえば前にも言ってたもんな、好きな奴が居るって」


なんて、笑顔を見せながらサラリと言ってのけた。あたしには衝撃的過ぎる、その考えを。