優しくないっ、優しさを感じない!



突如教室内に響き渡った、別の声。それにあたしは慌てて振り返る。

それは…その声は、進藤、ではない。


「助けに行きたぞ。ヒロの事」


「それとも進藤の方が良かったか?」なんて笑いながら近寄ってくるのは…コースケ。この教室になんているはずもない、あり得ない彼のまさかの登場だった。


「えっ、な、なんで?だって部活…」

「な。ヤバイよな。でも今日の見たらほっとけなくて…あんなヒロ初めて見たからさ」

「……」


そう言って、驚きの余りあたしが言葉を失ってる間に、コースケが座ったのはレナちゃんの席。いつもは…進藤が座る席。


「放課後はここにいる事が多いって霧野さんが教えてくれたから。そしたら本当に居たな」

「……そう、だけど…」


何も変わらずいつもの通りに明るく、コースケはここに来た理由を話してくれる。でも…それって…


「…じゃあ、あたしがなんでいつもここに居るのか…もう知ってるの?」


思い切って、あたしはそこを尋ねてみた。だってあたしがここに居るのはコースケの事が見たいからだ。なんでここに居るのかレナちゃんから聞いてたとしたら…もし知ってたら…なんて、そんな思いに駆られたら口に出さずにはいられなかった。


「…いや、本当の所は知らないけど…」


するとコースケは、こんな事を口にする。


「ただ、予想はついてるよ。結構そうゆーのに疎い自覚あるけど、それくらいなら俺にだって分かる」