…冷たくされるのは嫌だった。嫌われるのはもっと嫌だった。そんなあたしだったーーはず。
「あぁもう、でももうそんなの嫌なんだもん」
廊下のアレで、それは進藤があたしをあたしとして見てくれてる、そういう事なんだって気付いてしまった。
冷たいのも嫌うのも、全部あたしに対しての感情。進藤からそうされるのはあたしの他に誰もいない。進藤はそんな姿を見せない。あたしにしか見せてない。
「でも…もう違う。もうあたしはみんなと同じ」
優しくしてくれたっていいじゃん、そう思ってた。でも…みんなと同じあんな優しさ、あんなものはいらない。あんなのを望んでたんじゃない。だんだん優しくしてくれるようになってきてたのに。あたしが何を望んでるかなんて、どうせ本当は分かってるクセに。
「それなのにあんなのって無いじゃん。あんな態度…酷いよ」
酷い。みんなと同じにあたしを扱うなんて酷い。そんな進藤は嫌い。だから進藤に嫌われたってもう何の問題も無い。てゆーかもうすでにあたしなんて進藤の中では嫌いとかの部類になんていないだろうし、きっとその他大勢の一括りになっているはず。
…あぁ、それってつまり。
「…もう手遅れだって、もう終わりだって事じゃん…」



