優しくないっ、優しさを感じない!



…もうあたしには、そんな言葉しか出なかった。


嫌いだ、大嫌い。進藤なんて大っ嫌い。


そんな想いがあたしの中を駆け巡る。それしか考えられない。もう嫌だ。嫌なんだ!


…するとあたしが告げたその言葉に、進藤が表情を崩した。それは驚いているのか、衝撃をうけたのか、予想外だったのか…でも知らない、もうなんでかなんて知ろうと思わない。もうそんなの、あたしには関係ない。


「あんたなんて、大っ嫌いだ!」


そう言い捨てて、なりふり構わずあたしはそのまま教室の方へと引き返した。


そんなあたしに向かって「何あれ?」なんていう敵意に満ちたような、悪意の塊のような言葉の数々が投げつけられる。それをひしひしと感じながらも…あたしは、振り切るようにその場を去った。


もうなんか、自分の想いにいっぱいいっぱいだった。でも分かってる、嫌いの意味が。嫌い、そう言ったのは気に入らなかった思いから。受け入れられない生まれた気持ちから。

あたしは…気付いてしまった。


進藤から他の人達と同じように扱われる事が嫌な自分に。

嫌いだと言われる事よりもーーその方が辛いと感じている、自分に。


だからあんな進藤は嫌い。


大っ嫌い。