「ちょっと落ち着こうレナちゃん!てゆーか落ち着いて!」
「…落ち着いてるよ。だから行ってくる」
「い、いやいやだから行ってどうする…ってそうだよ!そうだよレナちゃん、今までせっかく秘密にしてきたのに今出てったらダメだって!なんか他にいっぱい人居るし、これじゃあ進藤と仲が良いってみんなにバレちゃう、」
「いいよ私の事なんて。私の事よりヒロちゃんの方が大事だもん。それにあたしはヒロちゃんが居ればいいし」
「!、い、いやっ、いやそんなっ!」
「ヒロちゃんに辛い思いさせるなんて許せない、そんな事ないくせに、それなのに…もう!タケル君の口から言わせてやる!絶対言わせるんだから!」
「い、言わせるって⁈ 言わせるって何を⁈ 」
「それはもちろんっ、ヒロちゃんの事どう思ってるのか、タケル君からちゃんと言わせて…っ、」
そこで突如、ハッとしたようにレナちゃんはピタリと動きを止めた。そして今にも飛び出しそうだった勢いを静かに、静かに収めていく。
「れ、レナちゃん…?」
思わずかけたあたしの問いかけに返事は無い。でも…その代わりに聞こえてきたのは、「でもいくらなんでも、そこまでしたら…」なんていう、彼女の小さな小さな独り言。
…うん。とりあえず、落ち着いてくれはしたみたい…
あたしは、ホッと一息ついた。



