優しくないっ、優しさを感じない!



そしてあたしは、どうだろう?大丈夫だろうかと、ドギマギしながら様子を窺ってみる。…すると、その人は、ゆっくりとその顔に表情を作り始めた。


「進藤 タケル」


その人は、言った。ニッコリとまた同じように笑って、穏やかな様子であたしに名乗った。そして、


「でも別に、覚えて貰わなくてもいいよ」


…そう、笑顔のままでサラリと言った。言ってのけた。


「……」


な、なんか、笑ってるけどさ…


その人の変わらない雰囲気、変わらない笑顔。今も表情は穏やかに微笑んでいる。微笑んでいるけど…


覚えて貰わなくてもいいよって、それってつまり…もしかして。


「……怒ってない?」

「ん?」

「お、怒ってるよね?」