「…だって、用が無いし」


そうそう、用が無いならかけるなって言われてるし。


「それでまたなんかよく分かんない事言われても困るし」


うんうん、もうこれ以上は対応出来ない。今だって出来てないし。


「それに別に進藤に嫌いだって言われた訳でもないし、ただあたしが気まずく思ってるだけかも知れないし、でもなんかウンザリだとか言われたし、でもそれはコースケの事を言うからだし、言わないなら別に何の問題も…でもそれって、結局用が無いって事になるし…」


「はぁぁ…」と、あたしは思わず大きな溜息をついた。最近はいつも、いつも寝る前にこんなかけるかけないの戦いをして、結局かけないまま眠りにつくんだ。

…色々言い訳してるなぁって自分でも思う。でもやっぱり仕方ないんだよ、だって嫌われてたらどうしようって思うんだもん。冷たくされたらどうしようって思うんだもん。もうなんか、昔の自分ってすごかったなぁって思う。あんな冷たくズバッとされたら…あたし、限度なく落ち込める気がする。


「それなのに、冷たくされない態度が気になって不安になってるなんて…なんなんだあたし。あたしは間違ってもMじゃない」


…はず。



それからあたしは、学校では常に進藤の姿を探すようになった。

タイミングを見て話しかけてみようと決心したのだ。もう電話作戦は諦めた。きっとハードルが高かったんだ。