もちろん、大きく頷くあたし。必死になってる自分が分かってた。だから今だって頷く事で精一杯になっている。
…すると、進藤はスッとあたしに視線を寄越す。
「…手遅れだったら、どうする?」
「!」
向けられたのは、変わらず冷ややかな視線。いつも通りの、あたしに向けられる視線。そこであたしは…ようやく、ある事実を思い出した。
そうだ、進藤に嫌われる…とかじゃない。進藤は始めからあたしの事を嫌ってたんだった。
進藤に嫌われたんじゃない、元に戻っただけ。それをあたしは知ってたはずだった。進藤に嫌われてるって知ってて、それでも進藤と今まで一緒に居たんだった。冷たい視線がなんだ、そんなの、それこそいつも通りだったはず。
それなのに…なんで?なんでだろう。
なんであたしは今、嫌われたって思って、嫌われたくないって思って、こんなに必死になってるんだろう。手遅れだろうがなんだろうが、そんなの別に何も変わらない事なのに。それなのになんでこんなにーー辛いんだろう。
「…辛い…」
「ん?」
「辛いよ、悲しい…。だって嫌われたくないんだもん。嫌われてるのは分かってても、やっぱり嫌われたくないんだもん」
「…なんで?」



