「進藤!こっち向いてってば、ねぇ!」
もう必死だった。必死に進藤に訴えかけていた。だって進藤に嫌われるなんて耐えられなかったから。進藤の中から消えちゃうなんて辛過ぎたから。あぁ、無い事にされるって辛いんだ。進藤は傷ついたんだ。進藤にあたしは酷い事をしたんだ。そんなあたしを嫌いになって当たり前だ。嫌われて当然だ。無い事にされて傷ついたのは進藤の方だったんだから。
「進藤……進藤、ごめん。ごめんね」
自然とこぼれたのは謝罪の言葉。許して欲しいと、心から思った。進藤に悪い事をしたのは自分だ、進藤を傷つけたのは自分だ。でも…それでもあたしは、やっぱり許されたい。進藤に嫌われたくない。
「ごめんなさい。あたしが悪かったから、もうそんな事しないから、だから進藤…あたしの事…嫌いにならないでよ…」
最後の方はもう、かすれたような声になってしまった。泣きそうになってた。だってそれは、今のあたしを占める想いの全てだから。あたしの中の上から下まで全てがそれで埋め尽くされている。嫌われたくない。進藤に嫌われたくない。進藤が居なくなるなんて、そんなのあたし…
「…俺に、嫌われたくないの?」
ーーすると、前を向いたままの進藤から問いが返ってくる。それにあたしは間髪入れずに頷いた。考える余地もなかった。
「それでそんなに必死になってるの?」



