優しくないっ、優しさを感じない!



今までそうやって見られてきた…それってもしかして…


「進藤の、事?」

「え?」

「あ、いや、その…実は進藤に少しだけ聞いて…」


思わず口にしたものの、バツが悪くてついあたしは口ごもってしまった。それに本人に聞いた訳でもなくその事実を知ってる事を、レナちゃんが非難するかとも思ったから。


でも…レナちゃんは、そんな事はしなかった。あたしと同じ様にバツが悪そうにしながら、小さく笑ったんだ。


「そうなんだ。タケル君とは幼馴染みで、だから結構親しくて…だからね、彼女さんとかタケル君の事好きな人とかからはやっぱり良くは思われなくて…ずっとそうだったんだ。タケル君とはずっとそう。ごめんね。だからね、もう嫌だと思って、だからずっと黙ってたんだ」

「……」

「だったらタケル君とは違う高校に行けば良かったのに、でもお母さんもお父さんもこの高校に行って欲しかったみたいで、結局逆らえなくて…私が悪いんだ、全部。黙ってたのだって、もしかしたらヒロちゃんも…なんて、今までの人達みたいにヒロちゃんも知ったら私の事嫌いになるかもしれないと思ったら怖くって、でもそれってヒロちゃんの事信用してないって事になるよね。そんなの、そんな事知ったらヒロちゃん、それこそ私の事嫌いになっちゃうに決まってるのに…」


そして、「私、本当にバカなんだ。バカでどうしようもなくて…本当に、ダメな奴なんだ…」そう自分の事を告げるレナちゃんは、寂しそうに、どこか諦めたように笑っていた。そんなレナちゃんにあたしはすごく…すごく、悲しくなる。