そう言った進藤は、また眉根を寄せた険しい表情をしていた。
怒ってる。さっきはこの表情を見てそう捉えた。でも…なんでだろう、今は違った。
「おまえは嫌いな奴に来て欲しいのか?話を聞いて欲しいのか?違うだろ。それが自分に向いてないと思ったから、だから嫌だと思ったんだろ?そんな俺が嫌いだと思ったんだ」
確かに、その感情の中に怒りも混ざってはいると思う。でもそれが全てではない。進藤は…怒ってるだけじゃない。
「嫌いでも良い。でも俺の想いまで決めつけるなよ。決めつけてそんな風に突っぱねるなよ。何のために俺がここに来たと思ってるんだ」
…ガッカリしたんだ。進藤はガッカリして、落ち込んで、悲しかったんだ。そんな感情が…怒りと、繋がったんだ。
「俺はおまえの事を嫌ってなんて無い。ナメるなよ、いくら頼まれたって嫌いな奴にそこまで付き合ったりしないし出来ない。俺がそういう奴だって、本当はおまえだって分かってたはずだろ?だから…感情に流されないで、ちゃんと話して欲しい。ーー神崎を心配して、俺はここに来たんだから」
それは、まさに進藤らしからぬ言葉だった。…でも、そう言った進藤の瞳は、真っ直ぐにーー怖いくらいに意思をのせて、あたしをジッととらえている。
そんな進藤の瞳にとらえられてしまったら、あたしはその場をピクリとも動けなくなった。
…どういう事?



