あたしは、思いっきり奴を睨んだ。意味分かんなかった。言ってる事がめちゃくちゃなのはそっちの方だ。さっきから話してる意味がさっぱり伝わって来ないし、どうしたいのかもさっぱり分からない。それなのに奴は分かった様な口ぶりで、あたしが悪いみたいに言ってくる。
確かにあたしが悪い。あたしが悪いし、レナちゃんに謝らなきゃならない。でもそれを進藤に言われたくない。なんで進藤なんか寄越したんだろう。あたしに謝らせたいのかな。進藤が来ればあたしが満足するだろうって?機嫌治すだろうって?自分はさっさと帰って進藤に説得させようって?…そうだよね、あたしは普通じゃない。話したって時間の無駄だもんね。レナちゃんの忙しい時間を使うほどの事じゃ無いよね。
どうせ進藤だってそう思ってる。あたしがレナちゃんに謝ってそれで終わり、それを望んでるんだ。あたしの事なんてどうとも思ってない。嫌いじゃ無いとか今更言い出したって遅い、そんなことしてあたしの機嫌とろうとしたってもう遅い。あたしは…あたしにだって、こんなバカなあたしにだって、やっぱり想いがあるんだよ。いつもあんた達の思い通りになんていかないんだよ。
どうせ進藤はあたしの思った様には動いてくれない。あたしの望み通りになんてしてくれない。あたしの気持ちなんて、これっぽっちも気にしてくれな、
「じゃあ聞くけど、おまえは俺にどうして欲しい訳?」
「……は?」
進藤の言葉に、一瞬思考が停止した。
「いや、何急に。別に進藤にして欲しい事なんて…、」
「おまえはさ、俺の意思でここにきて欲しかったんだろ?」
「は?そんな事言ってな、」
「言ってた。レナに言われて来てたと思ったから、だからおまえは言ったんだ」
“俺の事が、嫌いだって”



