「元気が無いやら悩んでるやら、それが解決した事すら報告されてた。俺とおまえが知り合う前も、後も、それで今回も」
「……」
「アイツはいつもおまえの事を見て、おまえの事を心配してるんだよ。それなのにアイツは自分じゃどうにも出来ないって、俺になら出来るって勘違いしてる。だからアイツは毎回俺におまえの事を頼む、」
「もういい。もうやめて」
あたしは、思わず制止をかけた。
進藤はおそらくあたし達の仲を取り持とうとあたしに告げたんだろう。あたしの知らない、二人の間に隠された真実を。
でも… 聞こえてきた言葉は、その真実は、あたしの胸に深く、残酷に突き刺さった。
「…だから居たんだ」
進藤は、だから居た。
放課後の、あたしの教室に。
「レナちゃんに、あたしの事頼まれたから…だから、あんたはいつもあそこに居た」
あたしに何かあった時、ちょうど居た進藤に話を聞いてもらってたけど、なんであたしはその時疑問に思わなかったんだろう…いや、なんで?とは思ってたし、口にも出した。でもその返事に深くまでは追求しなかった。そこまでだった。だっていっぱいいっぱいだったから。話を聞いて欲しかったから。聞いてくれる進藤の存在が有難かったから。だけどそれは…全部あたしのためじゃ無い。
「レナちゃんのために…進藤はあそこに居たんだ」
気づいてしまった真実はそれ。レナちゃんの不安を取り除いてあげるために、そのために進藤はあたしの話を聞いていた。優しくなんてする必要も無いし、する気なんてさらさらないあたしの相手を、進藤はずっとそれをしてきた。
全てはーー幼馴染みの、レナちゃんのために。



