「でも…今からあそこに居る女の子とデートなんでしょ?」
由佳が涙声でそう言うと、薫は「はぁ?」と言って、由佳を抱き締める腕を離して由佳の目を見つめた。
「お前もしかして、凛と俺が出来てるとか思ってる?」
「…違うの?」
すると薫は呆れたように「お前ほんと馬鹿だな。」と呟いた。
「凛は匠の妹。今日は匠ん家で飯食うことになってたんだよ。たまに呼ばれんだよ。」
「松本先生の妹さん…?」
由佳が驚いて凛のほうを見ると、凛は照れ臭そうに会釈をした。
「じゃああなたは小野寺薫のこと、好きじゃないの…?」
由佳が尋ねると、凛は滅相もないというように首を横に振った。
「薫くんにはお世話になってるしかっこいいから憧れの存在ではあるけど、私にはちゃんと大切な彼氏がいるよ。」
凛の言葉に、由佳は唖然とした。

