すると驚いたような顔をしていた薫はフッと笑うと、由佳のもとに歩み寄った。
もはや学校中の生徒が足を止め、2人に注目していた。
薫は由佳の目の前まで来ると、由佳の頭にポンと手を置いた。
「やってくれるじゃん。」
薫はフッと笑ってそう言うと、由佳を思い切り抱き締めた。
その瞬間、周りの観衆からはざわめきや悲鳴が聞こえた。
「それ、信じていいの?」
薫は由佳を抱き締めながら、耳元で囁いた。
由佳は緊張と脱力感と胸のドキドキで、コクリと頷くのが精一杯だった。
「他の女のところになんて、行くわけねーだろ。」
薫は抱き締める腕に力を込めた。

