嘘つきなポーカー 1【完】



――…。


校門のすぐそばで、2人並んで歩く男女の姿を見つけ、由佳は叫んだ。


「小野寺薫!」


薫は振り返ると、息を切らしている由佳を見て驚いたような顔をした。

そして薫は凛と呼ばれた女の子に「ちょっと待って」と促すと、由佳に尋ねた。


「どうした?」


由佳は大きく深呼吸をすると、叫んだ。


「好きなの!」


校門の近くに居た生徒たちがざわつく。
皆が由佳に注目している。

だが由佳は構わず続けた。


「小野寺薫のことが好きなの!」


薫は驚いたような顔をしながら呆然としていた。


「…だから、他の女の子と一緒に行かないで!」


由佳の目から涙がこぼれた。