――…。
校門のすぐそばで、2人並んで歩く男女の姿を見つけ、由佳は叫んだ。
「小野寺薫!」
薫は振り返ると、息を切らしている由佳を見て驚いたような顔をした。
そして薫は凛と呼ばれた女の子に「ちょっと待って」と促すと、由佳に尋ねた。
「どうした?」
由佳は大きく深呼吸をすると、叫んだ。
「好きなの!」
校門の近くに居た生徒たちがざわつく。
皆が由佳に注目している。
だが由佳は構わず続けた。
「小野寺薫のことが好きなの!」
薫は驚いたような顔をしながら呆然としていた。
「…だから、他の女の子と一緒に行かないで!」
由佳の目から涙がこぼれた。

