だが奈津子は由佳の予想とは裏腹に、何かを諦めたように笑った。
「なんだ、やっと言ってきたんだ。」
「え…?」
「いつになったらあんたは自分の想いに気付いて、私に言ってくるのかってずっと待ってたよ。」
奈津子は目を細めた。
「ずいぶん長かったね。ほんと、待ちくたびれたよ。」
呆れたようにそう笑う奈津子に、由佳は目を丸くして尋ねた。
「全部、分かってたの…?」
「当たり前じゃん。っていうか気付いてなかったの、あんたぐらいじゃない?」
「だって奈津子は、小野寺薫は私に同情してるって…」
すると奈津子は「あぁ。」と笑った。
「ちょっと意地悪したかったの。いつまで経っても自分の気持ちを認めないあんたがもどかしくてね。」
「……嘘。」
「あそこまで言えば、あんたは自分の想いに少しでも気付くかなって思った。」
奈津子は呟いた。

