そしてついに全ての授業が終わったことを告げるチャイムが鳴った。
由佳にとっては、ゲームオーバーの合図だ。
生徒たちが次々に帰る用意をし、下校し始める。
「由佳ちゃん。私今日用事あるから慰めてあげられないけど、まぁ悩みすぎないでね。」
華代はそう言い残して、足速に教室を去って行く。
由佳はそんな華代を泣きそうな顔で見送ると、はぁーと大きなため息をついた。
その時、教室に入ってきた人物を見て、由佳は目が釘付けになる。
「薫くん!」
薫の名前を呼びながら教室に入ってきたのは、例の女の子である。
「あぁ、凛。」
薫はそう言うと、荷物を持って立ち上がった。
由佳の心がこれまでにないほどに激しく痛んだ。

