由佳は勇気を出して、薫に声を掛けてみる。
「ねぇ小野寺薫!今日の放課後どっか行かない?」
「あー、今日は用事あるから無理。」
薫に即答されて、由佳の微々たる悪あがきも失敗に終わってしまう。
用事とは、あの女の子とのデートだろう。
こんなにも思い悩むぐらいなら、いっそのことあの時聞き耳を立てなければ良かったと由佳は後悔した。
「もう、正直に言うしかないんじゃないの。小野寺くんが好きだからあの子と行って欲しくないー!って。」
華代は玉砕して机に突っ伏している由佳を見下ろしながら、そう言った。
最近の華代はとても辛辣である。
「それが出来たら苦労しないよ…」
由佳は呟いた。

