次の日以降、由佳はそわそわと落ち着きがなかった。
それは昨日聞いたあの可愛らしい女の子の言葉のせいだ。
―― 薫くん、金曜日の放課後、いいかな?
あの女の子と薫は、金曜日の放課後に一体何をすると言うのだろう。
それにあの女の子は薫のことを苗字ではなく下の名前で呼んでいた。
普段あまり女子と会話をしたがらない薫だが、あの女の子と話している時は少し表情が柔らかい。
一体2人はどういう関係なのだろう。
由佳はそれを考えると、気になって昨日の夜はろくに眠ることも出来なかった。
「へぇー、早くもライバル登場?」
華代は由佳の話を聞き終わると、そう言った。
「ライバルも何も…もしかしたら私は最初から小野寺薫の眼中に無かったかもしれないし…」
由佳が不安げにそう言うと、華代ははぁーと大きなため息をついた。
「じゃあ由佳ちゃんは指をくわえて見てるんだ?」
「……。」
「あの子と小野寺くんがこのままくっついちゃってもいいんだ?」
「良くはないけど…」
「でもこのままだと2人はくっ付いちゃうよ?あと3日後の金曜日にね。」
華代にそう言われ、由佳は黙って俯いた。

