「お前、こんなとこで何やってんの。」
そう声を掛けられ、由佳はビクッと声の主の方を見た。
そこには、不思議そうな顔をする薫が立っていた。
「いや…トイレに行こうかなって…」
由佳は慌ててとっさにそう口にする。
「トイレは逆方向だけど。」
「え…あ、そうだっけ?あはは。ちょっとボケてたみたい。」
由佳が歯切れの悪い言葉でそう言って苦笑いをすると、薫は「お前、やっぱりおかしくなったな。」と言い残してその場を去って行った。
由佳はその場に立って考えていた。
金曜日の放課後に、一体2人の間に何があるというのだろう?
あの女の子を見る限り、彼女は薫のことが好きだ。
「もしかして…デート?」
由佳は胸がズキンとした。

