由佳は家に駆け込んだ。
ソファーの上に丸まり、全てを忘れようとしたが、さっき目にした光景が由佳の脳裏に焼きついて離れなかった。
可愛らしい女の子だった。
由佳よりもずっと女の子らしくて、華やかで、愛嬌のありそうな女の子だ。
そんな女の子に、薫は笑いかけていた。
確かに由佳は自分の目で見たのだ。
「他の子と楽しそうに話すことなんて滅多と無いのに、何でなの…」
由佳は呟いた。
「私はこんなに悩んでるのに、小野寺薫は私と関わらなくても何とも思ってないのかな…」
そう思った時、由佳は気付いた。
今まで、薫は由佳以外の女子とほとんど関わってこなかった。
それは薫が由佳の隣に常に居たからだ。
女子たちは話したくても由佳が居るせいで薫と話せなかっただろうし、告白だって出来なかっただろう。

