「由佳ちゃん、行こ!」


華代が何も見なかったかのように由佳の腕を引いた。

だが由佳は足に根が生えたようにその場から動くことが出来なかった。


薫が、笑っている。

見知らぬ女の子に向けて、笑顔を見せている。


それを見て、由佳の心はどうしようもなく痛んだ。


「華代…やっぱ今日は遊ぶのやめとくね。」


由佳はそう呟いて、駆け出した。


「え?ちょっと…由佳ちゃん!待って!」


そう言う華代の言葉も無視して、由佳は無我夢中で走った。

走っている最中、由佳の目からは涙がこぼれた。


どうして、笑っていられるの――…。


由佳は涙を流しながら心の中で呟いた。