自らが望んだことなのに、どういうわけか由佳の胸がズキズキと痛んだ。
薫と関わるのをやめると決めたはずなのに、いざ薫本人から存在が見えていないかのような扱いを受けると寂しく思ってしまうなんて全く自分はどうかしている、と由佳は思った。
「由佳ちゃん。」
華代は由佳のもとにやって来ると、口を開く。
「今日の放課後、2人でどこかに遊びに行く?」
華代が気を使ってくれているのは、聞かなくても分かった。
由佳と薫の間に溝が出来てしまったせいで、仲良しだったメンバー5人が少しぎくしゃくしているのが見て取れた。
華代は無条件で由佳のことを第一に考えてくれていたが、一応薫とも友達だ。
そしてそれは奈津子や和也も同じである。
ましてや奈津子は、薫のことが好きな身だ。
いくら仲の良い由佳が薫と距離を置いているとはいえ、奈津子が薫と距離を置くことは有り得ない。
由佳は自分のせいで場の空気を悪くしていることに気付き、自己嫌悪に陥った。
それでも由佳は、薫と距離を置かずには居られなかった。

