嘘つきなポーカー 1【完】



次の日、由佳はいつも通りの時間に玄関の扉を開けたが、そこには薫の姿はなかった。

由佳は安心したような、どこか寂しいような複雑な気持ちになった。


由佳が学校に着くと、薫はもう既に登校していた。

その姿を見た途端、由佳は昨日のキスを思い出し心臓が跳ね上がった。

由佳はそんな自分を心の中で憎らしく思う。


「由佳、おはよ。」

「お、笠原。おはよー。」


薫と一緒に居た奈津子と和也が、由佳の姿を見てそう言う。


「おはよ。」


由佳は2人にそう返すが、一緒に居た薫は由佳のことなど見えていないかのように知らん振りだ。

そんな薫の様子を見て、奈津子と和也は気まずそうに苦笑いした。


由佳と薫の異変にはクラスメイトも気付いているようで、皆が由佳の方を見てコソコソと何かを言い合っているのが分かる。