「同情なんでしょ!?」
由佳は叫んだ。
薫は驚いたような顔をしながら由佳を見つめている。
「奈津子が言ってたの…小野寺薫は私に同情してるんだって!あんたはそういう性格だって!」
由佳は何故か涙が溢れた。
「そう言えば小野寺薫は最初、友達が居ないいじめられっ子だった私の初めての友達になってくれたよね。」
「……。」
「色んなことから私を救ってくれたよね。でもそれだって全部哀れな私に対する同情でしょ?」
ぼろぼろと涙を流しながらそう言う由佳を見ながら、薫は黙ったままだった。
「もうやめてよ…そういうの…」
「……。」
「同情なんて別に、求めてないから…。」
「……。」
「だからもう、関わらないで…。」
由佳は涙を流しながらそう呟くと、空き教室を飛び出した。
薫が後ろから追いかけてくる気配は無かった。
由佳はまだ薫の唇の感触が残る自分の唇を、制服の袖で拭った。

