「奈津子は小野寺薫のことが好きで、私も小野寺薫は奈津子と一緒に居てあげたほうがいいって思ってて…、それで私と一緒に居る理由ってある?」
「……。」
「小野寺薫はもう、私と一緒に居ないほうがい……んっ」
一瞬、何が起きたか分からなかった。
由佳の目の前に目を閉じる薫の綺麗な顔。
唇には柔らかい感触――…。
由佳は心臓が壊れそうなほどに音を立てているのが分かった。
それは、あまりにも優しいキス――…。
薫は1度唇を離すと、ぎゅっと由佳を抱き寄せ、もう1度由佳の唇にキスを落とした。
その時、由佳は我に返り、薫の体を思い切り突き飛ばした。

