嘘つきなポーカー 1【完】



薫はズカズカと由佳のもとに歩み寄ると、由佳の腕を掴んだ。


「話がある。」


薫は由佳の目をじっと見つめながらそう言った。

由佳は高鳴る鼓動を抑えるのに精一杯で、何も言葉が出てこなかった。



「匠、こいつ借りてく。」


薫はそう言って由佳の腕を引く。

由佳は必死に目で松本先生に助けを求めるが、それも虚しく松本先生は笑顔で答える。


「どうぞどうぞ。」


そして薫は由佳の腕を引いて保健室を出ると、ピシャリとドアを閉めた。


「頑張れよー、恋する少年少女。」


2人が出ていった扉を遠い目で見つめながら、松本先生は小さく呟いた。