「きっと薫はあんたに同情したのよ。」
「え…?」
奈津子の言葉に、由佳は反応した。
由佳の心がざわつく。
「薫はそういう人なの。放っておけなかったのよ、あんたのこと。」
「…そうなのかな。」
「ほら、あんたも色々抱えてるじゃない?ましてや当時は私にいじめられてたわけだし。薫ってそういう人を放っておけない性なのよね。」
「…そっか。」
「同情する相手が、私からあんたに移ったのね……」
「……。」
すると奈津子は眉を下げながら困ったように笑い、言った。
「それでもまだ薫が好きだなんて、笑えるでしょ?」
「ううん…良いと思う…。」
由佳はそう答えるのに精一杯だった。
「だけどようやく納得出来たわ。由佳、ありがとうね。」
奈津子は笑顔でそう言うと、「由佳、初詣に行こう!」と立ち上がった。
由佳は「うん。」と返事をしたが、その表情はもしかしたら曇っていたかもしれない。
どういうわけか、由佳の心がズキズキと痛んだ。

