「あんたが死ぬほど憎かったわ。よりによって、その時自分が1番憎んでいた相手に薫を持って行かれたんだもの。」
「……。」
「しかもあんたは薫のことなんて全く興味がない感じだったし。…そんな奴に薫を取られたんだから私は怒り狂ったわ。」
「……。」
その時、奈津子は由佳の目をじっと見つめながら尋ねた。
「ずっと気になってたんだけど…あんたと薫はどうして繋がりを持つことになったの?」
奈津子にそう尋ねられ、由佳はそう言えば薫との出会いを誰にも話していなかったことに気付いた。
由佳は奈津子に、薫と出会ったきっかけを簡単に話した。
ケイと名乗る謎の人物から電話がかかってきたこと、顔も知らないその人物としばらく毎日やり取りをしていたこと、そしてその「ケイ」が小野寺薫だったこと――…。
全て話し終わると、奈津子はハハハと笑いながらため息をついた。
「薫らしいわね…」
奈津子は呟いた。

