嘘つきなポーカー 1【完】



奈津子はため息をついて続けた。


「薫の場合、全部同情なの。私が頼めばキスしてくれたし、抱いてくれた。…それでもそこには愛がないの。」

「……。」

「好きだって言わないのよ。」


奈津子は続けた。


「それでも良かった。たとえ同情でも、大好きな薫のそばに居られるだけで私は良かった…。」

「……。」


すると奈津子は悲しげに呟いた。


「…だけどいつからだろね。薫が同情すらしてくれなくなったのは。」

「……。」

「由佳が現れてからだよ…」

「え…?」


黙って話を聞いていた由佳だったが、突然登場した自分の名前に驚いて、奈津子に聞き返す。


「薫が由佳と関わるようになってから、薫は私のそばから離れて行ったのよ。」


奈津子は力無く笑った。