嘘つきなポーカー 1【完】



―――…。


そこまで話すと、奈津子は深くため息をつきながら言った。


「その日以来、私は薫に恋に落ちたわ。薫は私の心の穴を埋めてくれる、唯一の存在だった…」


奈津子の言葉に、由佳は呟いた。


「そんな過去があったんだね…」


すると奈津子は力無く笑って答える。


「だけどそれも私の一方的なもので、薫が私の事をそういう対象として見てくれることは1度も無かった。」

「……。」

「薫は残酷なの。優しくするくせに、そこには愛がないんだもの。」

「……。」


そして奈津子は、遠くを見つめながら呟いた。


「…全部同情なのよ。」