薫のその言葉に、奈津子の心に抱えていた何かが溢れ出した。
「何よ……今日転校してきたばっかりのくせに、何よ…っ」
奈津子の目からボロボロと涙が零れ落ちた。
そんな奈津子の頭を、薫は優しく撫でた。
「吐き出せよ、全部。」
「……寂しいわよ…つらいわよ…っ!悪い!?」
「…うん。」
「私だって…、私だってお父さんやお母さんに愛してもらいたかった…っ…皆みたいに…感謝の手紙を書いてみたかった…っ」
奈津子はそう言うと、わぁっと泣き出し、そして薫の腕の中に顔を埋めた。
「お母さん…お父さん…っ…どうして私の事を捨てたの…っ?私、寂しいよ…っ!ヒック…」
「分かった。分かったから。だからもう抱え込むな。もうそれ以上自分を傷付けようとするな…」
薫は腕の中で嗚咽をあげながら泣きじゃくる奈津子の頭を撫でながら、呟いた。

