奈津子が次に目を開けた時には、目の前には信じられない光景が広がっていた。
奈津子たちを襲撃してきたはずの男たちは全員地面に倒れ、残された女たちは恐怖で震えている。
その中心に立つ銀髪の少年は、返り血を拭いながら涼しい顔で呟いた。
「雑魚いな。」
奈津子は言葉が出てこなかった。
これだけの人数を、この短時間で、この男が1人で全員仕留めたというのだろうか――?
「あんた、一体何者……」
奈津子は唖然としながら呟いた。
すると答えたのは薫ではなく、地面に倒れている男だった。
「もしかしてお前…白龍の新星って噂の…銀髪のケイ……」
声を振り絞りながらそう呟く男に、薫はニヤリと笑いながら答えた。
「出くわしたのが俺で、運が悪かったな。」
すると、男女たちは血相を変え、蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

